無人島に持って行きたい10枚のアルバム2枚目「イデアの水槽/GRAPEVINE」(2003)

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「Circulator」→「another sky」→「イデアの水槽」というアルバムの流れは、ベース西原誠の活動休止、復活、脱退の流れがよく現れていたと思います。破壊、再生、開放。

デビュー後、第二のミスチルと言われ、そのイメージを壊すように作られた「Circulator」ですが、あまりにも唐突な変化球で今までのファンは驚き、かと言って、新規ファンを取り込む、といったこともなく、中途半端な失敗作に終わってしまいました。それを完成形にしたのが「イデアの水槽」だと思っています。

1曲目「豚の皿」のイントロからすごい。これが新生GRAPEVINEだと思わされるインパクト。


豚の皿 GRAPEVINE

田中和将の書く歌詞は難解であるがよく読むと馬鹿みたいなこと言ってることがあり、例えば、M5「11%MISTAKE」はサビ以外をファルセットで歌っていてとても不思議な曲。この歌詞も"たぶんそんなはずない""なにかのまちがい"あえて言いますと指のサイズだ"と、何言ってるんだ?って感じですが、結局は11%しか勃たなくて指のサイズっていう勃起の歌です。かと思えばM3「ぼくらなら」M10「会いにいく」のようなラブソング。シングル曲は割とわかりやすいですが、アルバムの曲は社会風刺やセックスみたいな歌詞が多いです。

M2「シスター」、M4「ミスフライハイ」の今までにない尖った感じ、中盤の「SEA」「Good bye my world」の暗さ、そこからM11「公園まで」はポップな印象的が強いですが、ラストの「鳩」で皮肉る。一見バラバラなのですが見事に綺麗に収まっています。

あとですね、最初に「Circulator」は駄作と言いましたが、実は「イデアの水槽」と同じくらい好きです。リリースから10年経って好きになりました。

不安定さが出てしまった未完成品と堂々と新しいものを見せつけた完成品、どちらも聴いてほしいです。